7月18日、研究会のお知らせ「今、ジェンダー論争をふりかえる」

◆日時 7月18日(日)16:00~19:00
◆コロナ・ウィルス感染拡大防止のため、Zoomによるオンライン配信で行います。
◆参加フォーム:Googleフォーム(締め切りました)

*パスワード流出による会議の荒らしを避けるために、参加する方は事前に上記のGoogleフォームより登録してください。参加自由、無料。
*開催前日(17日)に、登録されたメールにZoomのログインURLとパスワード情報をお送りします。またパスワード情報はSNSや他者へ転送することはお控えください。
*PCからZoomへアクセスする場合は事前の準備は必要ありませんが、タブレットやスマートフォンから入室する際は専用アプリが必要になりますので、事前にダウンロードをお願いいたします。途中参加や退場も可能です。
*オンライン配信のため、全体会議は行いません。
再放送はありませんが、関連資料へのリンクを逐次追加していきますのでご確認ください。

◆主催:イメージ&ジェンダー研究会、後援:EGSA JAPAN

◆シンポジウム関連資料

  1. 佐藤紀鈴「「ジェンダー論争」のおおまかな流れ」
  2. 三田晴夫「状況考(3)借り物の思想・知・主題をめぐって」『LR』3号、1997年8月、pp.22-23
  3. 小勝禮子「『美術とジェンダー』の現在―『揺れる女/揺らぐイメージ』展をめぐって」、『LR 美術批評/展覧会批評誌〈エル・アール〉』6号、1998年2月、pp.28-35
  4. 三田晴夫「状況考〈6〉美術と正義をめぐって」『LR』7号、1998年5月、1998年5月、pp.22-25
  5. 小勝禮子「抑圧の論理をめぐって 三田氏に対する再反論―再びジェンダーと美術について」、『LR 美術批評/展覧会批評誌〈エル・アール〉』8号、1998年7月、pp.70-76
  6. 三田晴夫「状況考〈8〉反映論と党派性をめぐって」『LR』9号、1998年9月、1998年9月、pp.6-11
  7. 小勝禮子「三田晴夫氏の『反映論と党派性』という断定に対する反論」、『LR 美術批評/展覧会批評誌〈エル・アール〉』10号、1998年11月、pp.6-12
  8. 三田晴夫「状況考〈9〉観念性と肉体性をめぐって―ジェンダー論争の極私的総括」『LR』12号、1999年3月、pp.6-11
  9. 笠原美智子さんに聞く『ラヴズ・ボディーヌード写真の近現代』展をめぐって 山本育夫=聞き手 『LR 美術批評/展覧会批評誌〈エル・アール〉』16号、1999年11月、pp.6-25
  10. 北原 恵『攪乱分子@境界―アート・アクィヴィズム 2』 1999年12月、pp.172-194
  11. 「座談会-「ジェンダー論争」を考える」『イメージ&ジェンダー vol.1号、1999年12月15日、pp.67-71

◆シンポジウム「今、ジェンダー論争をふりかえる」

1990年代後半、美術史学や美術館においてジェンダー・スタディーズを導入した研究や展覧会に対して、主に男性研究者や批評家らから批判が展開されました。それに対し女性研究者や学芸員らが次々に応答しました。今日「ジェンダー論争」と呼ばれるこの一連の出来事は、当時はインターネットやSNSが発達していなかったこと、批判と応答のアリーナがミニコミ誌であったことから「ジェンダー論争」の全体像にアクセスすることは非常に困難です。

「ジェンダー論争」から20数年が経過した今、現状はどれほど変化したでしょうか。美術館や美術(史)研究におけるジェンダー不平等、アート界における#MeTooやハラスメントの告発など、近年ジェンダーに関連した問題が明るみに出てきています。

「ジェンダー論争」を経た現在、何が変わり何が変わらないのか、今「ジェンダー論争」をふりかえることで、現状を変えるために何が必要なのかを共に考える場にしたいと思います。

16:00~16:10
   開会挨拶 小勝禮子(近現代美術史・美術批評)
   趣旨説明 吉良智子(日本美術史・ジェンダー史)

16:10~17:30 報告①~④
   司会:北原恵(表象文化論・美術史)
   報告①「『ジェンダー論争』の論点と意義について」佐藤紀鈴(社会教育・団体職員)
   報告②「千野香織の仕事――日本美術史におけるジェンダー視点の導入について」吉良智子
   報告③「アーティストから見るジェンダー論争」長倉友紀子(アーティスト)
   報告④「90年代生まれにとってのジェンダー論争」高橋ひかり(エディター、「ひととひと」メンバー)

休憩 10分

17:40~19:00 全体の質疑応答 
   司会:池田忍(日本美術史)
   コメント:小勝禮子 17:40~17:55

企画・運営:池田忍、木方幹人、北原恵、吉良智子、小勝禮子、ユミソン


報告要旨① 
「『ジェンダー論争』の論点と意義について」 佐藤紀鈴

「ジェンダー論争」についてその論点と意義について検討する。「ジェンダー論争」は、1990年代末にジェンダーの視点にたった美術展示と美術史研究の領域において、主に二つのミニコミ誌を中心にジェンダー論の有効性が争われた出来事を指している。報告では、この「ジェンダー論争」に関わる上記ミニコミ誌上でのやりとりや出来事の整理を試み、一次資料や後に論争をまとめた文献等にあたり、「ジェンダー論争」が起こった経緯や流れを明らかにすることを通して論点を整理し、意義を検討する。

報告要旨② 
「千野香織の仕事――日本美術史におけるジェンダー視点の導入について」吉良智子

1990年代後半、日本美術史におけるジェンダー視点の導入に大きな役割を果たした千野香織(1952-2001)は、東京国立博物館の研究員からそのキャリアをスタートし、学習院大学教員となった後の1992年にハーヴァード大学客員研究員としての滞米時にニュー・アート・ヒストリーとの邂逅によってジェンダー・フェミニズム視点からの表象研究に着手したとされている。しかしその萌芽はそれ以前の研究にもすでにみられることを前提に、千野による仕事を①いわゆる「美術作品および美術史」のジェンダー視点からの読み直し、②現代アートに対するジェンダー批評の展開、③展示やメディアにおける表象のポリティックスの3つに分け、それぞれの分野における代表的な研究や論文を紹介しつつその今日的意義を考えたい。

報告要旨③ 
「アーティストから見るジェンダー論争」長倉友紀子

ジェンダー論争について知ったのは、自身が運営しているコレクティブ「Timeline Project」の活動で、日本の女性アーティストの美術史を制作していた時でした。2000年代に教育を受け、現在も女性アーティストとして活動しているにもかかわらず、90年代後半に日本で起こった論争について知る機会がなかったという事実にショックを受け、ジェンダー論争について独自に調べ始めます。

 調べてみると、ジェンダー論争は主に研究者や批評家を中心におこなわれており、それに対するアーティストからの目立った言論は当時ありませんでした。この「言論へのアーティストの不在」が、今の日本のアートシーンにどんな影響を与えているのか?

 24年前に起った論争から「変わったこと」と「変わらなかったこと」を、自身の活動や女性アート・コレクティブの現状を紹介しつつ、“当時を知らなかったアーティスト” からの視点でお話しをできればと思います。

報告要旨④ 
「90年代生まれにとってのジェンダー論争」高橋ひかり

私は美術大学を卒業後、今年の春まで美術施設の職員として働いていました。働き始めて1年目の秋ごろにコレクティブ「ひととひと」の活動の誘いを受けるまで、「ジェンダー」の問題にとりわけ興味を持っていたわけでもありませんでした。

今回の発表では、美術業界で働いていた20代の自分がなぜジェンダーに興味を持ち、「ジェンダー論争」を調べ、ひととひとの展覧会のエッセイで取り上げようと思うに至ったのかを、同コレクティブの活動の紹介も含めてお話できればと思います。

この発表を通じて、「切迫した現実とは無関係に探し出された」とされたジェンダーの問題が、論争から20年以上経ったいま、どのように私たちの世代に関わっているかを考え直す機会にできればと思います。

登壇者略歴

佐藤紀鈴

1992年生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科総合教育開発専攻修士課程(教育学)修了。社会教育(博物館教育)を学ぶなかで、ジェンダーの視点に立った美術展示、学芸活動について関心をもち、小勝禮子(元栃木県立美術館学芸員)の実践を通し、その意義について修士論文で検討した。

吉良智子

1974年生まれ。東洋英和女学院大学他非常勤講師。千葉大学大学院社会文化科学研究科修了、博士(文学)。専門は近代日本美術史・ジェンダー史・表象文化論。1998-2000年にかけて学習院大学大学院人文科学研究科において千野香織に師事。著書に『戦争と女性画家 もうひとつの近代「美術」』(ブリュッケ、2013)、『女性画家たちの戦争』(平凡社新書、2015)。

長倉友紀子

1984年生まれ、ベルリン在住。2017年ベルリン・ヴァイセンゼー芸術大学大学院 Raumstrategien学科修士課程修了。エコロジーとジェンダーをテーマに、リサーチをベースにしたインスタレーションと、パフォーマンスを主に制作。近代化に伴う女性と自然の搾取構造に潜む共通点に高い関心を寄せている。近年の主な展覧会に、サンフランシスコのArt Object Gallery「Transient Existence」(2019)、ベルリンの旧東ドイツ・オーストラリア大使館「Figures」(2018)、ベルリン・ヴァイセンゼー芸術大学「The Nuclear: Power and Family」(2017)などがある。

高橋ひかり

1995年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学芸術文化学科卒業。

在学時より絵画制作・執筆活動を開始。ART TRACE Gallery、ギャラリイKにおける個展・グループ展、NPO法人アート&ソサイエティ研究センターインターン、アートラボはしもと職員などを経て、現在はエディターとして活動。最近の寄稿記事に、「Borderのあわいをひらく 釡山ビエンナーレ 光州ビエンナーレの鑑賞に寄せて」、「S.O.S.レポート『オルタナティブ・スペースが還るとき』」(NPO法人アート&ソサイエティ研究センターホームページ)など。2018年よりコレクティブ「ひととひと」のメンバーとして活動。2021年5〜6月に、「女が5人集まれば皿が割れる」展にエッセイを出展。

小勝禮子

1955年埼玉県生まれ。近現代美術史、ジェンダー論。元栃木県立美術館学芸課長。京都芸術大学、実践女子大学他、非常勤講師。企画開催した主な展覧会に、「揺れる女/揺らぐイメージ」展(1997年)、「奔る女たち 女性画家の戦前・戦後1930-1950年代」展(2001年)、「前衛の女性1950-1975」展(2005年)、「アジアをつなぐ―境界を生きる女たち1984-2012」展(福岡アジア美術館ほか、2012-13年)など。共著に、香川檀・小勝禮子『記憶の網目をたぐる―アートとジェンダーをめぐる対話』(彩樹社、2007年)ほか。