次回研究会の開始時間とプログラムが変更されました。
ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
■■■イメージ&ジェンダー研究会 例会案内■■■
日時:2015年8月31日(月)
場所:上智大学(四ツ谷キャンパス)、10号館3階、301号教室
■運営会議:13:00~13:30
■研究会: 13:30~17:50
(*研究会後、懇親会予定)
(1)北原恵(大阪大学)13:30~15:20
「”モダン”と”伝統”を生きた日本画家・谷口富美枝」
コメンテーター:角田知扶(呉市美術館)
(2)Scott Tsuchitani (visual artist) 15:30~16:00
“Questioning Japaneseness and Japanese Americanness through Visual Art”
(発表は英語、逐次通訳あり)
(3)金子牧(カンザス大学)16:00~17:50
「北米での日本近代美術研究と”Asian-American”Artの視座」
コメンテーター:村井則子(上智大学)
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■企画趣旨
今回は、カンザス大学の金子牧さんをお招きして、「北米での日本近代美術研究
と”Asian-American” Artの視座」についてお話しいただきます。最初の発表
(北原恵)で取り上げる谷口富美枝は、戦後、渡米して、その後の半生をアメリ
カで終えた画家です。カンザス大学の美術館や、呉市美術館は、谷口富美枝の作
品を所蔵しており、呉市美では今年、谷口の展覧会が開かれました。
例会では日米の研究者による調査が始まりつつある谷口富美枝研究や、北米で
の日本近代美術研究の最新の状況を紹介し、サンフランシスコを拠点に活動する
アーティストのスコット・ツチタニさんによる作品紹介をしていただきます。
そして、”Asian-American”Artをめぐる議論を参照しながら、「日本人」アー
ティスト概念や研究の枠組みについても再考したいと思います。
■会場案内
上智大学は、四ツ谷駅から徒歩5分。
会場は、10号館3階、301号教室です。図書館前にある6階建ての白いコンクリー
トの建物です。
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya
■共催:イメージ&ジェンダー研究会
科研(基盤C)「軍事主義から見る女性美術家と視覚表象」
■お問い合わせ:imagegender@yahoo.co.jp
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■発表要旨
(1)北原恵(大阪大学)
「”モダン”と”伝統”を生きた日本画家・谷口富美枝」
本発表は、最近、研究の始まった谷口富美枝に関する調査や資料紹介などを主
な目的とする。谷口富美枝(仙花)は、女子美術学校と文化学院で学び、青龍社
で活躍していた1930年代には、そのモダンな女性像で画壇で俄かに注目を浴びた
日本画家である。戦時中には長谷川春子の率いる女流美術家奉公隊も参加、戦争
末期、呉市に疎開した。戦後、渡米し、日系人の同人誌『南加文芸』に小説など
の自伝的文章も残している。
これまで渡米後の足跡については、家族にすらほとんど知られていなかったが、
3年前に呉市で作品が呉市美術館に寄贈されたことから、地元の新聞記者や家族
・学芸員・研究者らの協力で少しずつ谷口の人生がわかってきた。その調査の最
新状況を紹介する。
(2)Scott Tsuchitani
“Questioning Japaneseness and Japanese Americanness through Visual Art”
参考までに、http://www.scotttsuchitani.com/index.html
(3)金子牧(カンザス大学)
「北米での日本近代美術研究と”Asian-American”Artの視座」
本発表は、北米における日本近代美術研究の現状、そして近隣学問領域であり
ながら紹介される機会が比較的少ないと思われるAsian-American artの研究史を
概観・考察する。先ず、近年出版された日本近代美術関連の研究書及び博士論文
の検証を通じ、現在の研究状況を大まかに把握する。その上で、Asian-American
artの研究史へと焦点を移す。Asian-American art historyは、制度的サポート
と社会的理解の欠如に苦しみながらも、過去四十年にわたって研究・展覧会活動
が続けられてきた。近年、こうした努力が一定の成果を上げたと認識されている。
更に北米におけるアジア系移民の増加・多元化といった状況を受け、より多層的
・越境的な”Asian-American”の枠組みの構築を目指す新たな局面を迎えている。
こうした“Asian-American” art研究の動きが、「日本」近代美術研究に示唆
するものは決して少なくないだろう。 “Asian-American”の均質性を問い直す
視点や“Transpacific”などの新たなフレームワークは、戦後に渡米・移住を選
択した谷口富美枝を含む多くの「日本人」アーティストを再考するための、一つ
の視座と考えられる。