現在開催中の国際美術展あいちトリエンナーレ2019(名古屋市・豊田市)における企画「表現の不自由展・その後」の中止が、あいちトリエンナーレ実行委員会により発表されました。
同展に展示された《平和の碑》等に対し、一部政治家からの「撤去」を要請する抗議文や公的資金支出の見直し発言、そして脅迫や嫌がらせ行為が相次いだなかでの中止でした。これによって、意見の割れる歴史認識にかかわる作品を展示する、見て考える権利が奪われました。
私たちイメージ&ジェンダー研究会は、表象文化についての研究や批評、あるいはオルタナティヴな表現活動を通じて、女性のみならず、国籍や階級、性的指向・性自認などによって歴史や社会の中で周縁化されてきた人々を含めたジェンダー公平・平等な社会の実現を希求してきました。ジェンダー平等を掲げたあいちトリエンナーレという公的なアート展が、多様な価値観を表現する場所の確保をめざしたことに大きな意義を感じ、期待を寄せています。そのような場で、さまざまな議論の機会が閉ざされたことは大変残念です。
私たちは、同展の展示と議論の場の復活を心から強く望みます。
2019年8月5日
イメージ&ジェンダー研究会