次回の研究会のお知らせ

I&G 臨時研究会     全体テーマ「テレビアニメの女性受容」

2月15日(土) 14~17時     武蔵大学8号館 8701教室
企画・司会   木村智哉(日本学術振興会 特別研究員)

【プログラム】

14:10~15:00 発表1.福嶋綾佳(学習院大学大学院 身体表象文化学専攻 修士課程修了)
「美形敵キャラクター」と女性アニメ視聴者

(休憩)

15:10~16:00 発表2.須川亜紀子(関西外国語大学 教員)
「魔法少女」表象再考:「魔法少女」たちのこれまでとこれから
(仮題)
(休憩)

16:10~17:00   ディスカッション

発表1 要旨
マンガやアニメは、子供が接することが多いメディアである。そのため製作者は、「少年向け」と「少女向け」という二大区分によって対象とする読者/視聴者を峻別してきた。しかし、これに対し、読者/視聴者の側は製作者によって意図された性や年齢を越えた受容を男女ともに行うようになる。
これらの「越境的受容」の背景にはマンガとアニメの「青年化」現象があった。最大の受容者(購買層)としての戦後ベビーブーマーとポスト戦後ベビーブーマーに対し、それぞれの業界は「青年向け」作品の受け皿を用意した。しかし、製作者側から提供される作品は、「男性青年向け」の作品数は層を増した(青年マンガ誌の創刊、青年マンガのアニメ化)のに対し、「女性青年向け」の作品は「少女向け」マンガ作品として提供されるに留まり、アニメは製作されなかった。受容と供給の不均衡が、女性アニメ視聴者に、自分達のアニメとして「少年向け」アニメ作品を発見し、受容することを促した。
1970年代後半に創刊した複数のアニメ情報雑誌では、異性のアニメキャラクターを理想の存在(恋愛対象や自己投影の対象)であると公言することは、「ミーハー的アニメファン」として非難された。主に女性アニメ視聴者を非難した動きだったが、彼女達は非難をものともせず、「少年向け」アニメを受容し続け、2013年現在、製作者側にとって彼女達の存在は消費行動の観点からも無視できない存在となった。
本発表では、女性アニメ視聴者が現実には存在しない男性アニメキャラクターに理想の存在としての気持ちを寄せた現象を探る。1970年代後半の長浜忠夫アニメ監督による「少年向け」ロボットアニメ作品に登場した「美形敵キャラクター」を具体例として取り上げ、とりわけそれを越境的に受容する女性の様子を当時の社会背景との関係を考慮しながら詳らかにする。

発表2 要旨
女の子向け「魔法少女」アニメにおける「魔法少女」表象は、西洋ベースの魔女表象から、変身と戦闘が中心となる戦闘美少女表象へとシフトし、今やターゲットオーディエンスの区分を超えて、イメージが多様化しつつ、再生産が続いている。「変身によるドレスアップ、メイクアップ」、「美少女チーム」、「ゴージャスな魔法アイテム」は、美=パワーとしてエンパワメントのメタファーとされ、現代の「魔法少女」表象の典型となっている。第二波フェミニズム、ポストフェミニズムをへて、「ジェンダー平等」が遍在化したかのようにみえる2010年代、「魔法少女」アニメのナラティブにも伝統的ジェンダー役割や保守主義のノスタルジックな回帰が見られる一方、典型的「魔法少女」表象をなぞりながらも、それを反転させてみせた『魔法少女まどか☆マギカ』などの作品も、ジェンダーやエスニシティ問わず、オーディエンスに広く受容された。
本発表では、まず、拙書『少女と魔法』で分析した1960年代~2000年代の女の子向け「魔法少女」アニメにおける、「魔法少女」表象と少女オーディエンスの理解を概観し、テキスト分析とオーディエンス研究の問題点と可能性を検討する。その上で、深夜枠でテレビ放映された(女の子向けではない)『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)と『劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』(2013)で提示された、女の子向け「魔法少女」アニメにおける「魔法少女」表象が隠ぺいしていた問題群を析出し、「叛逆」が投げかけた問いを考察する。